唯一無二のガラス

横山さんの泡ガラスに感じる、
強い躍動感。

泡が生きている。

 

ゆっくりと時間をかけ
冷え固まってゆくガラスの中で、
泡もまた時間をかけて佇む。
活きいきと輝きを放ちながら。

 

泡ガラスには、
ガス発泡剤 を用いて作られることがほぼ。

でも、横山さんは発泡剤などは使わない。

どこまでも、
原始的なガラスづくりをする作家。

1250℃に燃え滾る坩堝(るつぼ)の中には、
マグマのように溶けたガラスの生地。

鉄竿の先に油を塗り、
窯の扉を開け瞬時に坩堝の中へ。

 

- ガラスが泡を吹く瞬間。 -

 

黒煙が混じり、
灼熱の炎が上がる。

横山さんからお話を聞き、
想像していたものより
はるかに過酷で壮絶な作業…

黒煙も炎も、
もう横山さんの体を飲み込んでしまうんじゃないかと…

 

るつぼの蓋をあけ、
数秒で流れ落ちる大量の汗。

その滴る汗を何度も拭い、
寡黙に作業を進める横山さんの姿に、

私たちは言葉を失くし、
溢れる涙を止めることができなかった。

 

この一瞬でできた気泡を掬いとり、
コップ、鉢、ボウル…と
泡生地たちがなりたい形に手を進めてゆく

一回、一回、
気泡の粒の大きさも、
流れゆく表情も、
密度の濃さもちがう。

一回の泡に一作品。
だから何度も
この過酷な作業を繰り返す。

そして、油分と反応させて
泡を起こしているゆえにできてしまう煤。
坩堝の中のガラス地についた煤を、
また一回いっかい、丁寧に取り除いていく。

次の作品に煤がつかないように。

 

横山ガラスがひとつ出来上がるのに
どれほどの時間と覚悟が必要なのか。

今はボタンひとつで温度設定も、
タイマー設定もできる
有能なガラス溶解炉が主流。

でも、横山さんは50年かけて体得した
感覚と気温とで窯の温度を上げてゆく。
窯も手作り。

気ぜわしく温度を上げれば中の坩堝が割れてしまうし、
のんびり付き合っていれば仕事にならない。

すべて、自分自身を信じて、感性のままに。
だからと言って無鉄砲な作り手なんかでは
決してない。

 

「 温度管理もやってくれて、この時間に温度を設定。
なんてのを使って作ってたら、きっと、この歳までやってないよ。
退屈すぎて、毎晩お酒飲みに行っちゃうよ。仕事しなくなるよ。 」

 

そう話す横山さんの目はとても穏やかで、
心底自分が大好きなことを
意のままに仕事にしている、
究極なつくり手の顔だった。

自然体なのに、
すごく格好良かった。

 

どうか、たくさんの方に知っていただきたい。
そして、だからこその魅力、価値をお伝えしたい。

私たちの、切なる願い。

 

 

本物の佇まい、
生命を感じるガラス。

 

心が震える感覚は、
きっとこの夏最高の思い出に。

 

手を守る籠手も自作。 何度も作り替えても、 すぐにボロボロになってしまう。 それほど高温のなかの過酷な作業。

 
 
 
…………………………

柏本店にて

『 グレーのうつわ 』
8/25(土)まで
会期中無休

…………………………

 
 

スタッフ和田