- 10月のご挨拶
「虎に翼」終わっちゃった…
脚本家、吉田恵里香さんの朝ドラは
今までになく深く掘り下げられたドラマ展開で目が離せなかった通常は一人の女性史で、時代背景の中その女性の生き様を見せてくれるのだが、
今回のドラマは作り方自体が違っていた例えば、家族愛、友情、職業、時代の変化、
政治、マイノリティーなどサラッとではなくシリアスなくらい突き詰めて…
忘れられない場面のセリフが多々あるまた、演じる役者さんたちの役作りにかける集中力も見事だった
主演・伊藤沙莉さんの役に入り込んでいる様子は尋常ではなかったなぁ彼女の集中力が波動となり、
脇をかためる役者さんの演技もさらに熱くなり、
膨らみのあるドラマになっていたそして米津玄師さんの主題歌がいい
一度突き放した言葉を空高く上げ、
感情にピタリとはまる言葉のピースがパラパラと降ってくる、そんな感じ
主題歌もドラマの内容を高めるひとつに違いない
今日から10月
長かった残暑がガラリと変わった秋の入り口
気持ちを整え『さよーなら、またいつか!』
久保田真弓
Story
寄稿
萬器三十周年に添えて
土と火と水、そして手技。器は、自然と人間の接合点で生まれる表象である。その意味や価値を無言のうちに語りかけてくるから、私たちは器という存在に惹かれるのかもしれない。
あえて「器」と書いたのは、このたび三十周年を迎えた「萬器」の名前にちなんでのこと。もちろん、「器」は、工芸から生み出されるすべてのものに置き換えられる。今日まで三十年の長きに亘り、「萬器」が扱ってきた表象のかたちは数限りない。それらひとつひとつが誰かの手に渡り、親しく使われ、愛されながら、この世界のあちこちに点在する様子は何かに似てはいないか。無数に散らばる星々を線で結んだとき、まなうらに浮かび上がる図形。それは私に星座を想起させる。
思えば、「萬器」は、歳月と空間をつうじてものとひとを交差させ、繋ぎ合わせながら拡張する役割を任じている。着々と、黙々と。これもまた創出の表現である。
平松洋子 Yoko Hiramatsu
作家、エッセイスト。東京女子大学文理学部社会学科卒業。2006年『買えない味』でBunkamura ドゥマゴ文学賞、2012年『野蛮な読書』で講談社エッセイ賞、2022年「『父のビスコ』で読売文学賞を受賞。『食べる私』『日本のすごい味』『肉とすっぽん 日本ソウルミート紀行』『ルポ 筋肉と脂肪 アスリートに訊け』など著書多数。