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8月のごあいさつ

八月は暑い。
そんな暑い最中、誰も住まなくなって20年以上経つ廃屋同然の実家所有の小さな平屋に手を入れた。
地元の大工さんは親切だ。まるで親戚のおじさんのように低予算の改築を引き受けて、
何とか住めるように改装してくれた。

不思議、
60歳を超えたあたりから自分の中にある感覚的なことや味覚のベースは
幼い頃に積み重ねてきたものからなっているとわかってきた。

いつもは墓参りだけを足早に済ませ、中心地のホテル泊をあたり前にしていたここ数年。
改めて、
ダイニングから見える庭の景色にホッとする。
季節、季節、庭に実りがあり、幼い頃頬張った果物もまだある。
何十年もの時を経て、もう一つの我が家になった。
この家は終の住処にはたぶんならないと思うけど、今は行けないパリでのアパルトマン暮らしが改築のきっかけになった。
夏と冬、年二回異国の台所に立ち、暮らすように過ごしたパリの日々。そんな使い方をこの家でもやってみよう。

歳を重ねた地元の幼なじみとフト街角ですれ違い気づかぬまま…、なんて。
それも又楽しみな九州の家。

久保田真弓