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8月のごあいさつ

日照不足のまま8月に滑り込んだ今年の夏。
短い夏の様相だから尚更この時季の食材を味わいたい。

水の中で泳ぐソーメンは淡白過ぎて子供の頃は苦手だった。
然りとて冷麦にしてもらってもピンクやグリーンのソーメンを掴み終わると、
もう興味が失せて箸がすすまなかったのを覚えている。

大人になると味覚は変わる。

茗荷、苦瓜、生姜は夏の食欲減退時には欠かせないし、
あれほど苦手だったソーメンも出汁つゆに大葉を刻み、
梅干しを叩いて啜ると猛暑も越えていける気さえする大好きな味になった。

味覚って本当に不思議。
甘い、柔らかいが好きの最初で、塩っぱい、酸っぱい、苦いと少しづつ味の幅を作っていく。
そう…、嫌いや苦手は何かのきっかけでふいに扉が開く瞬間がある。

例えば、
初めて連れてってもらった小料理屋、
一気に大人の仲間入りしたあのドキドキ感と
苦いだけのビールに小鉢の煮付けやお浸しが合うことも知った。

30度超えの8月は素材そのままを頂くシンプルな料理がよく合う。
あと一ヶ月足らずの夏、今夜は冷えたビールをまずはゴクリと…。

久保田 真弓