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11月のごあいさつ

11月といえば本格的にタルト・タタンが美味しくなる時期と私の誕生日 月。(笑)

友人作のタルトタタール、誕生日はこの焼き菓子がほぼ毎年祝ってくれる。
私より一回りほど下の彼女はフランスでパティシエ修行をした人。
萬器がオープンした頃からの付き合いだから27年近くにもなる。
都内からこの街に嫁ぎ、まだ知り合いもいない頃、駅の途中にある我が店に立ち寄るところから付き合いが始まった。

振り返ってみても愚痴を言い合うとか、
傷を舐め合うことはなかった。
それでも長い付き合いの中で幾度かの嵐波に揉まれ、この夏も彼女は心臓に近い部分の手術を受けた。
「麻酔が切れてきて意識が戻り、ゆっくりと目を開いたときにね、あっ、私生きてるって感じたの…」と。
短かいがその言葉の重さに震えた。

そう、今生きてることが大切なんだ。
生に執着することではなく、一日を完結するように過ごすこと。
大袈裟に誕生日を祝うことなんかより生きる意味を日々の言葉や新聞の一行から受け取り、自分の内側に入れ熟成させたい。

今朝は甘酸っぱいタルト・タタンと苦味のきいたコーヒー。
秋晴れの空から一枚の枯れ葉がハラハラとまるで手紙のように落ちてきた。
一日、一日を大切に過ごせと書いてある気がした。

久保田真弓