9月のごあいさつ
夏の終わりは突然だ
公園で途切れ途切れに鳴く蝉が切なさを誘う
誰もいなくなった一人っきりの世界を悲しんで鳴いているのだろうか…。
先月末、会期ギリギリで上田義彦写真展を見に行った
タイトルは「いつでも夢を」
昭和歌謡的なタイトルもいい
某飲料メーカーのコマーシャルなどで目に馴染んでいるから写真はスゥーと入ってくる
写真家が撮る一枚の写真は画家が描く絵画と同じだ
その人しか表せない世界観を持ち、確立していることが素晴らしい。
2〜30年前の中国、きっと今よりゆったりとした時代の日常風景
写真をみていたら自分の内側からある人の歌声が聴こえてき
「手嶌葵」さんの歌声だ
あの歌声と上田義彦さんの今回の展示写真に共通するものを感じた
柔らかい歌声をイメージしながら展示写真を見進めていくーー。
しあわせなひと時だった
美術館を出た頃には日差しの中にうっすらと秋の気配が。
そうもう九月、長かった夏は終わった。
久保田真弓