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10月のごあいさつ

それは突然わが身に降り落ちた。
雨降りの朝、緩いスロープでステーン‼︎

左足の骨を折った。

約三ヶ月の松葉杖生活が始まっている。
我が家の狭い空間を松葉杖で歩くと二匹の猫たちが目をまんまるにして逃げ惑う。
たぶん「ゴツン、ゴツン」の杖音と、脇を広げて大きく振り歩く姿に恐れをなしている。

何はともあれ、かなり不自由生活。
まずは両手が杖にとられるから何も持てない。
松葉杖で狭い階段が上がれない、下れない、何より怖い。
松葉杖は体力がない限り無理なものと知る。
時間を掛けさえすれば回復が見込めることはわかっていながら行動制約の多さに心が萎える。
今は我が身を嘆くばかりで、人の切なさや苦悩を訳知り顔で聞いていたことが
とても恥ずかしく消え入りたい。

十歩ほど進んで握りしめた松葉杖。
やるせないほどの体力の無さ、
置いてきぼりの歩みの中で呆然と立ちすくむ。
道脇の木に目をおけば「あっ、金木犀…」

靴を履いてない左足をすっーと秋風が撫でていく。

久保田 真弓