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7月のごあいさつ

最近読んだ本…、原田マハさんの小説。

美術館キュレーターの経験者として専門知識とヨーロッパを舞台にした
軽快な物語の流れにすっかりはまった。

「暗幕のゲルニカ」「たゆたえども沈まず」
など、1800年代後半からの時代背景は世界が劇的に変化し、興味を惹かれるところだから尚更。
まして日本人の好きな「ゴッホ」や「ピカソ」、主人公の時代を舞台とし、
パリのカフェや裏町をピカソは颯爽と、ゴッホは虚ろな目を空に浮かせヨロヨロと歩いていたにちがいない。
時代に生きた画家たちを蘇らせ、物語を作り込み、読み人をグングン引き込んでいく文体はさすが魅力的だ。

今までだったら毎年この時期私はパリの空の下にいた。
暮れぬ太陽をいいことにあちらこちらと這いずり回り、
クタクタの身体に冷えた白ワインとさっぱりめの「あて」をお供に酔って眠った。
今は遠い場所になってしまったけど、あの街はきっと何も変わらず待っててくれるはず。

『たゆたえど沈まず』

どんな時であれ激流に身を委ね、けっして沈まず、やがて立ち上がる。

そんな時代が今なのではないだろうか…。

遠いパリに思いを馳せ、マスク生活は7月に入る。

久保田 真弓