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11月のごあいさつ

都内近郊の街路樹が色づくのは意外に遅く、
これから見頃を迎える。

それぞれに好きな紅葉の名所はあるけど、
私のお気に入りは東大構内の銀杏並木。
てっぺんからグラデーションの様に色を変え始めた木々。
その一番奥に大正末期に建てらた安田講堂が見えるあの風景が好き。


周辺に住む友人に誘いを受け、初めて構内に足を踏み入れたのはかれこれ十数年前。
フカフカの黄色い絨毯と地面との間にたくさんの銀杏の実…。

「ここの銀杏は大きくって美味しいの」と囁く友人の手には既に軍手とビニール袋が。
無心で拾い集め、両手に余るほどの量を手に入れニンマリ笑顔。

構内のあちこちにあるイチョウの木の下には腰をかがめ、拾い集める人。
写真を撮る人。
晩秋を描く人。

それぞれに秋を満喫している。


今年はコロナ禍で東大構内も一般には解放されていないが、
もうすぐ木枯らしが吹くとあの光景がはじまる。
不意に北風を受け、バラバラと地面を叩きながら銀杏の実が落るのだ。

ひと気のない今年もきっと同じように繰り返されるはず…。

そうして11月は突然冬になる。

久保田 真弓