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5月のごあいさつ

このところ八十代の女性の方に会う機会が続いた。

以前Parisをご一緒した方は
旅先にウイスキーの小瓶を持参され、
眠りに入る前の時間を楽むという何とも粋なご婦人だった。

あれから数年が経ち、お連れ合いが大病され暮しが変わった。
『寝酒を楽しみながらパジャマの裾でシャンパングラスを磨いたあの頃が懐かしい
わ。』と。
文学的な物言いにこちらはドキッ、でも決して愚痴られている訳ではない。

また大阪に暮らすデザイナーのご婦人も、やはり八十代。
建築が好きで世界の秘境にある建造物を今も見て歩かれている。
私が知り得ない世界の話を分かりやすい言葉で伝えて下さる。
『私は私らしく生きてきた。』と事も無げに言われるが
意味深く過ぎて、簡単に頷けない人生の重さを感じる。

誰でも間違いなく老いていく。
八十代は生き様が結論としてでる年齢。
ご婦人たちとの時間で教わったことは
素敵な微笑みと人生に抗わない柔軟さ。

今ならまだ心がけ次第で変われるかもと焦る私。

 

久保田 真弓