11月のご挨拶
10月の半ば、夕暮れの竹ノ塚を歩く
行きは循環バスに乗ったけど
今別れたばかりの彼女との時間は私に1人を促した
出会いは20年以上前、
ほどほどの距離感を保ったまま永く付き合ってきた
来年の作品ができないと断りメールをもらったのはほんの数日前
行かなきゃという思いに駆られ竹ノ塚の自宅を訪ねた
二人、椅子に腰掛け取り留めのない話を少し
それから二日後、彼女は逝った
最近作家さんとの関わりをしみじみ憶う
毎年、隔年、数年おきと個展開催は作家さんそれぞれである
意外と思うほどさらりとした関係性
でも作品という絆でしっかりと繋がっていることを私は知っている
作家さんの作品に触れたとき、あの日あの時がリアルに甦る
その人はもういない、
でも間違いなく存在したと作品がこちらに訴えてくるのだ
質のいい、萬器らしいという括りの個性で
あなたでなければできない仕事を思う存分魅せてくれた
秋が深まり、これから枯れ葉が舞う
寒さより寂しさで心が震える晩秋になる
久保田真弓