1月のご挨拶

2024年から2025年へ、
静かに新しい年へ踏み出した

今年最初に選んだ一冊は
近頃再人気の有吉佐和子『青い壺』

まずは題名が器屋としては気にかかる
ある陶芸家から見事な砧青磁が生まれたところから始まる13の短編ストーリー

時代は日本の高度成長期、登場人物は私が生まれた昭和ど真ん中だから
それぞれの風景や登場人物の会話が「そうそう」的な物語だ

我が店でも作家さんから生まれた暮らしの器がこれまでにたくさん旅立っていった
色々な料理を引き受ける灰釉の鉢、ぽってりとした粉引皿、モダンな白磁、
みんな活躍しているだろか?
それとも食器棚の奥でポツンと佇んでいないだろうか

器を作り上げた作家の作品と使う家庭  
その関係性はきっと無数の物語があるはずだ
そんな関わりをさせて貰える職業は他になかなかないなぁと…

久しぶりに我が家の食器棚を眺めてみる 
これが我が家の食卓生活の歴史 
今年もどんな出合いを結ぶのだろうか

新春の一冊 『青い壺』
平松洋子さんの解説文章もかなりいい

ご一読を

                             久保田真弓