春の日帰り旅行 潮工房へ
3月某日
萬器スタッフで小西潮さんと江波冨士子さんの工房、『潮工房』を訪ねました。
あたたかな気遣いとおもてなしに溢れた一日。
美味しいランチにイチゴ狩り!
そして私たちのために江波さんが作品制作を見せてくださいました。



この日は都内では桜が満開だというのに真冬のような寒さ。
それでも工房に数分いるだけでみるみる身体が熱くなっていきます。
真夏の作業は暑すぎて、身体に熱が溜まり、夜も眠れなくなってしまうそう。
何度も何度も炉に入れては出しを繰り返す過酷な作業。
ガラスの溶け方を長年の感覚で感じ取り、目指すカタチへ少しずつ慎重に整えていきます。
真っ赤になったガラス、どんどん温度が上がる工房。
時間をかけてひとつの作品が生まれていきます。



アシスタントの方とはまさに阿吽の呼吸。
無駄な動きが一切なく、声かけも最低限で見事な連携に見惚れてしまいます。
掃除が行き届いた綺麗な工房、手入れをされた道具、それを扱う丁寧さ。
この場所には澄んだ空気が流れています。
ガラスは瞬間の作業。
一秒も無駄にできない緊張感を肌で感じました。
江波さんの所作のすべてが丁寧で美しい。
それは作品に対しての想い。
つまりそれを手にする私たちへの想い。
過酷な仕事の中に、江波さんの心が見えます。
「とにかく一生懸命つくる」
江波さんはそう話していました。
まっすぐな気持ちと純粋さは作品に宿り、私たちを感動させてくれるのです。



工房の2階へ移動し、次はガラスのパーツを組み立てる作業場へ。
こちらでは江波さんがひとりで作業をします。
小さな小さなパーツをピンセットで並べていく。
集中力が必要な作業です。
もちろんこの小さなパーツも時間をかけて生まれるものです。
熱が入った様子を想像しながら、感覚で配置を決めていきます。
灼熱の工房での過酷な作業と、繊細で神経を使う作業
それに江波さんの感性がプラスされあの素晴らしい作品が生まれるのです。

工房見学のあとはギャラリーでお茶をもてなしてくださいました。
江波さんが点ててくださるお茶の味はとても優しくて
穏やかな時間が流れていました。

こちらは潮さんの作品。
ピンクのレース模様に抹茶色がとてもきれいです。


お茶室には江波さん作のお茶道具が。
美しい…

床の間のお花。
この花器は高校生の頃に作った作品だそうです。
自由に流れる釉薬、のびのびとした作品。
その才能にただただ驚きます。
工房の澄んだ空気、こまやかな気遣い、丁寧な所作や動作、チームワーク。
全ての要素が、心を打つ作品に繋がってることを実感した一日でした。
江波さん、潮さん、スタッフのみなさん
贅沢な時間を本当にありがとうございました。
三浦から柏、少し長い帰り道。
イチゴの香りと一緒に、甘くあたたかな気持ちで帰路につきました。
