一月のご挨拶

新年の始まりは夜を跨ぐ荘厳な鐘の音で始まる

幼き頃は除夜の鐘をきくことが出来ず深夜に
大人だけが知る儀式があると信じていた

一夜明け、元旦の朝は格別だ
空気まで清々しく三姉妹の私たちと父と母、きちんと並んで「あけましておめでとうございます」のご挨拶
その後、地域の集まりや親戚との酒の酌み交わしで出来上がり気味な父、いつも威厳を保っているだけに少し苦手だった

子どもでさえ新年を迎える時は背筋がピッと伸びるのだから大人は更なり
今月29日は萬器30周年の記念日、
身が引き締まる思いだ
平成から令和に続くこの30年、情報通信は目覚ましい進化があった

地図を見て旅を組み立てた時代からルート検索で的確に目的地に着くし、
調べたいことを広辞苑や専門書からでなく、サクッとスマホで検索になった
かなり便利になったが、自分の中に刻み込む感覚が衰えていく気がしてならない

人が作り出す、生み出す、機能美や造形美を愛でることで感性だけは衰えないようにしたい
それが萬器の仕事だから

過去を振り返るとこれからの未来が見えてくる
温故知新、2024年の1ページ目が捲られた

  久保田真弓